鎌倉市のＮ様邸に納めたちょっと風変わりなお仏壇です。
若くして亡くなられたご主人をご供養するために奥様からご注文いただきました。
仏壇には形式的な決まりごとがいろいろあると思いますが、奥様はそういった形式にとらわれず、そんなことよりも自然が大好きで明るい性格だった故人をなんとなくイメージさせるようなお仏壇である事を一番に望んでおられました。
たぶん、そういう特異なご要望だったからきちんとした仏壇屋ではなく、うちのようなテキトーな家具工房にお問い合わせくださったのだと思います。
奥様やまだ幼いお子さんたちとお話しながら少しずつ亡くなられたご主人の事を勝手に想像させていただき、奥様のご要望も出来る限り取り入れてこのようなデザインにまとめていきました。
いつも家族みんなと一緒にいられるようにリビングに置いておきたいので、あまり仰々しくなくて温かみのある家具のような仏壇であること。ご本尊やご位牌などを安置する須弥壇（しゅみだん）もオープン棚にして、そこに故人の思い出の品々をいつでもたくさん供えられるようにしたい。とのご要望でした。
伝統的な仏壇や現代的なオシャレ仏壇なんかと比べても本当に素朴でシンプルですが、このように既成概念にとらわれず自由なイメージで作られた仏壇は他にあまり見ないと思います。
↑はN様邸に実際に納品した時の画像です。（奥様にご了承を得て掲載させていただきました。）
ご本尊やお花や仏具をここにお供えしていくうちにより華やかな雰囲気になっていって、何も飾っていなかった時とは全く別物のように活き活きとした明るいお仏壇になりました。奥様が選ばれた仏具などもそれぞれおおらかで楽しいデザインの物ばかりでしたから、それらのおかげもあると思います。
本来ならお仏壇は「厳か」とか「静謐」な物でなければいけないのかもしれませんが、このように明るく楽しいお仏壇があっても良いものなのだなぁ、と感じました。
奥様が望んでいらっしゃった形のお仏壇がこれでようやく完成されたというわけで、それのお手伝いをさせていただけたことにたいへん感謝しております。
あと、ご本尊の下の空いているスペースには遺影を置かれる予定なのですが、その遺影の額縁はただ今僕が取っ手と同じ寄木柄で作らせていただいています。完成するまでもう少しだけお待ちください。
今回お仏壇を製作させていただくにあたって、いろいろと仏壇について勉強もしましたが、特に宗派などへのこだわりが無い場合、故人を偲ぶ事ができるならどんな形でもアリなんだな～とつくづく思いましたね。
材種：ウォールナット、タモ、桜、センなど
仕上：オイルフィニッシュ
サイズ：600(W)×450(d)×1348(h)